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【反省会】三手詰祭り創作の裏側

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11分で読めます 2026/02/25
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概要


つみき書店様の第10回三手詰祭りに参加しました。
 
まず、このような企画を催してくださったつみき書店様、拙作に短評や★評価を寄せてくださった皆様に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
 
この記事では、その創作過程の裏側を、実際の投稿作もふまえて振り返ります。作者の頭の中の一端に触れていただけますと幸いです。
 
※サムネ画像はGeminiで生成しました。何回やっても駒がマトモにならん。

[h:創作の全体方針]
前回初めて参加したときの反省もふまえ、以下のような方針を決めて作図をスタートしました。
 
[sh:狙いが伝わるように]
作品の狙いが解答者にハッキリ伝わることをもっとも重視しました。しかも、深い洞察がなくとも作意を並べれば自然と理解できるくらい、わかりやすい水準を目指しました。
 
前回はいきなり駒を並べ始めて迷走したので、今回はテーマを決めるまでは盤駒や柿木将棋は使わないこととしました。また、推敲にあたっても、狙いと関係ない要素は思い切ってカットし、テーマの強調に努めました。
 
テーマ設定にあたっては、過去の三手詰祭りの出題作を参考に、他の人とバッティングしなさそうなものを選びました。また、複数の投稿作を繋ぎ合わせると狙いが浮かび上がるような構成は、解答者に伝わらない可能性が高いと判断してやめました。
 
[sh:手順を完全限定する]
三手詰祭りでは、変同をポジティブに利用した作品が毎回多く出題されています。解答者側もそれに慣れているため、複数解だとその意味を汲み取って短評に書こうとします。
 
したがって、特に意図もなく変同作を出すと「意味不明」という評価に陥りがちです。今回、複数解の作品を出すつもりはなかったので(他の人と被るし)、不用意な変同を出さないように気を配りました。
 
また、成生非限定や最終手余詰はかなり印象を損ねます。前回はそれがわかっていながら見落としがありました。今回は同じ失敗をしないよう、非限定がないことの確認を徹底しました。
 
[sh:変化紛れを作り込む]
多数の出題がある三手詰祭りでは、ある程度は立ち止まって考えてもらわないと、解答者の印象に残れません。作意より有利そうな紛れがあったり、妙防があって逃れたりすると、評価としては当然高くなります。解答者の思考プロセスを想像しながら、考えたくなるような誘い手を盛り込むことを意識しました。
 
短手数では駒数を減らすことが是とは限りません。あまりにも純度を高めすぎると、却って一本道のつまらない作品になりがちです。あまりクリーンな盤面にこだわらず、変化紛れのための駒も必要に応じて配置することとしました。
 
[h:実際の創作過程]
ここからは実際の投稿作(第39番)を通して創作過程を振り返ります。まずは出題図を掲載しますのでよろしければ先に解いてから読み進めてみてください。
 
第39番 出題図
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盤面
[sh:テーマの設定]
まずは作品を通して表現したい狙いを言語化します。ここでは過去の出題傾向や最近見た作品がヒントになります。面白いかはいったん傍において、とにかくアイデアをたくさん出すことを重視しました。また、一度作り始めてしまうとたとえ面白くないアイデアでも捨てるのが難しくなるので、この段階では盤駒を使わないと決心しました。
 
これまでの三手詰祭りの出題作では、初手が歩の作品は少ない傾向がありました。派手な捨て駒や遠打の中に、ぼんやり歩を動かす作品があったら逆に新鮮かもしれないと思い、テーマを「初手が歩」と定めました。
 
[sh:原理図の作成]
とりあえずテーマが実現している(だけの)図を作ります。余詰・不詰があっても気にしません。ひとまず、作ろうとしているものが満たすべき条件や取り得る構図への理解を深めます。
 
「初手が歩」といっても、持駒の歩を打つのでは自明すぎます(3手詰で3手目に歩を打つことはあり得ない)。また、初手の歩成は有利すぎてどうにもつまらなさそうです。一方、初手を歩不成に限定するのは3手では難しい(おそらく理論上できない)ようです。
 
以上のことから、盤上の歩を可成圏外で突くような構図をイメージして作っていきました。実際はこのように理路整然と考えられている訳ではなく、色々駒を並べながらあーでもないこーでもないと試行錯誤しています。
 
第39番 原図
?
盤面
 
[sh:パターン展開]
まず、原図に足りていない点や改善すべき点を明らかにしていきます。ここでも、漠然と盤駒を使うのではなく、きちんと言葉で表現することが大事です。
 
第39番で言えば、例えば以下のようなことを考えていました。
・動かす歩が玉の脱出を押さえている大事な駒に見えるようにしたい。
・有望そうに見える and/or 逃れ順が面白い(限定合など)紛れが必要。
・3手目が見えづらく不安定な詰め上がりであるとよい。
・盤面の駒数で出題順が決まるので、8〜10枚にして中盤に登場できるとハマる解答者が増えそう。
 
要素を言語化できたら、それを盛り込んだ改良図をいくつも作ります。すべてを一度にクリアしたり、一つの図を徐々にアップデートしたりするのではなく、要素の一部だけでも反映したものを大量生産し、あとで統合していくイメージです。
 
駒種変更や配置の平行移動・回転なども駆使してパターン展開していきます。今回は1作につき30パターンくらい作りました。あとでわからなくならないように、原図からどのような点が変わったかを下書きのメモに記録しておきます。
 
[sh:最終化と確認]
改良図を比較・統合していきます。全体方針に立ち返って「この要素は狙いを伝えるのに有効か?」ということを考えながら取捨選択します。結果として完成図に盛り込まないと判断する要素も出てきますが、それらはまた別の創作のヒントになるので無駄にはなりません。
 
完成図ができたら、先述のとおり無意味な変同や非限定がないかを今一度精査します。一晩寝て翌朝調べると見つかることもしばしば......。また、shogipicで図面を作って、出題図として見たときに違和感がないかもチェックします。この段階で、と金を生金に変えるなど微調整することもあります。
 
最後に作品の狙いや手順説明を書いたら完成です!
 
第39番 出題図・作意手順
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盤面
初手はぼんやりと15歩。紐をつけている銀を取られて不安なようだが、スッと馬を寄ってこれで詰んでいる。初手32馬は23金の移動合が唯一の受けで、以下同馬、同桂で15に桂馬が効いてくるので詰まない。
 
[h:まとめ]
前回より系統立てて創作できたのはよかったです。実際は上記のように整然と進められているわけではなく、行ったり来たりしながらですが、それでも立ち返るべき方針があったので、締切がある中でも気持ち的には楽でした。
 
第39番については「歩突きが全然見えなかった」「初手32馬の逃れ筋が面白い」との短評をいただき、狙いとしては一定伝わったかなと感じています。一方で「誘い手不足」との評もあり、手順の作り込みには改善の余地がありそうでした。
 
今回、他の方の作品や短評に触れて、やはりチェスプロブレムの研究が必要だなと思いました。プロブレミストは見ている世界が違うというか、上手く言葉にできないんですが、テーマの選び方や盤面の広さの活かし方の点で、今の自分とは壁があるなと感じます。
 
今後も少しずつ勉強して、より良い作品を届けられるよう精進します。ここまで長い記事を読んでいただきありがとうございました!!!

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